「原発比率引き上げ」は安倍政権のアキレス腱か

執筆者:磯山友幸 2015年5月8日
エリア: アジア

 経済産業省は4月28日、2030年時点の電力需要をどう賄うかを示す「エネルギー・ミックス(電源構成)案」を公表した。現在、再稼働できずにゼロになっている原子力発電の比率を20~22%に引き上げるとしているのが最大の注目点だ。この比率を確保するには、2030年時点で稼働40年以下の原発20基をフル稼働するだけでは不十分で、40年超の「老朽原発」を稼働させ続けるか、新たな原発を稼働させることが必要になる。ただ、老朽原発の延長運転には安全性の問題がからむうえ、原発の新増設には国民のコンセンサスはまったく得られていない。電源構成を審議する委員の間からも、実現可能性を疑問視する声が上がっている。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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