「玄永哲」粛清の謎を追う(上)錯綜する情報

執筆者:平井久志 2015年5月25日
エリア: アジア
5月13日、韓国・ソウル市内の駅で「玄永哲粛清」のテレビ報道を見る人 (C)AFP=時事

 韓国の情報機関、国家情報院は5月13日、非公開で行われた国会の情報委員会での報告で、北朝鮮の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(66)が4月30日ごろ粛清されたと報告した。情報委員会の幹事である与野党の議員が同日、これを韓国メディアに公表し内外に衝撃を与えた。
 メディアは、玄永哲人民武力部長が4月24、25日に平壌で開催された軍第5回訓練活動家大会で金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の演説中に居眠りをしたことなどで粛清され、国家情報院は「数百人の軍幹部が見守る中で、平壌順安区域にある姜健総合軍官学校で高射銃で銃殺された可能性があると国会情報委員会に報告した」(朝鮮日報)と報じた。
 玄永哲人民武力部長は軍部では黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長に次ぐ「ナンバー2」だけに、2013年12月の張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長に次ぐ政権の核心幹部の粛清として大きな衝撃を与えた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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