「人手不足」と外国人 (10)

「人手不足」と外国人(10)なぜ実習生の給料は安いのか?

執筆者:出井康博 2015年6月8日
エリア: アジア

「外国人実習制度」を使って日本で就労する中国人が減り始めている。2012年末には11万1385人を数えた中国人実習生の数は、14年末までに10万93人へと減少した。実習生のニーズが減ったわけではない。同じ時期、外国人実習生は全体で1万6000人以上増え、約16万8000人に達している。
 中国人実習生が減った大きな理由が「円安」である。円安は日本を訪れる外国人観光客を急増させているが、賃金を日本円で受け取る実習生にとってはマイナスだ。実習生は人手不足に悩む職種にとって欠かせない労働力となっている。その7割近くを占める中国人が、減少に転じた意味は小さくない。
 実習制度は今国会で拡充が決まる。最長3年の実習期間を5年へと延長し、実習生の受け入れ可能な職種に「介護」なども追加される。しかし、枠さえ広げれば、実習生は日本にやって来るのか。受け入れの現場で追ってみた。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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