「対米」「対中」原油輸出が伸び悩む「アフリカ経済」の多難

執筆者:白戸圭一 2015年6月12日

 5月29日にナイジェリアで大統領就任式典が挙行され、3月28、29日の大統領選で当選した「全進歩会議(APC)」のムハマンド・ブハリ氏(72歳)が民主化後4人目の大統領に就任した。ナイジェリアにおける政権交代の歴史的な意義については、平野克己さんが「アフリカの部屋」の5月8日付記事「ナイジェリア『予想外の平穏な政変』の深い意味」で解説してくれた。ブハリ新大統領はこれから2019年5月までの4年間の任期中、ナイジェリアのかじ取りにあたる。

 ナイジェリアは、1国でサブサハラ・アフリカ49カ国全体のGDP総額の約35%を占める経済大国であり、言わずと知れたアフリカ最大の産油国だ。今世紀に入って以降のサブサハラ・アフリカの経済成長は、原油輸出量の増大と原油価格の高止まりに牽引されてきた面があり、ナイジェリアの経済成長は、その象徴でもあった。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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