中国の「歴史戦」を見る(上)「無知」を超えた「意図的な曲解」

樋泉克夫

 6月6日の産経新聞が伝えるところでは、アメリカ製アクション映画の『ダイ・ハード』や『アルマゲドン』などの主演で知られるブルース・ウィリスが、旧日本軍による重慶爆撃(1938年12月~43年8月)をテーマにした中国映画の「大爆撃」(仮題)に出演するとのこと。彼の役どころは、蔣介石の要請で中国戦線に赴いたシェンノート(漢字で「陳納徳」と表記)将軍率いる義勇飛行隊「フライング・タイガース」(中国では「飛虎隊」と呼ぶ)の飛行教官とか。義勇飛行隊を名乗ってはいるが、実態はアメリカ空軍の別働隊に近い。

 110億円超とも約70億円ともいわれる破格の製作費を使い、国有大手の中国電影集団公司などが共同製作するというから、常識的に考えるなら、9月初旬を中心に計画されている「抗日戦争勝利70周年」事業の一環ということだろう。

 中国製作の反日映画にハリウッド・スターが出演する。なにやら反日宣伝における統一戦線工作の臭いがしないわけでもないが、おそらくアメリカを巻き込んでの反日宣伝はAIIB(アジアインフラ投資銀行)や尖閣問題に対する安倍政権の動きを横目に、慰安婦問題などを巻き込みながら、いよいよ激化すると考えられる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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