中国の「歴史戦」を見る(上)「無知」を超えた「意図的な曲解」

執筆者:樋泉克夫 2015年6月20日

 6月6日の産経新聞が伝えるところでは、アメリカ製アクション映画の『ダイ・ハード』や『アルマゲドン』などの主演で知られるブルース・ウィリスが、旧日本軍による重慶爆撃(1938年12月~43年8月)をテーマにした中国映画の「大爆撃」(仮題)に出演するとのこと。彼の役どころは、蔣介石の要請で中国戦線に赴いたシェンノート(漢字で「陳納徳」と表記)将軍率いる義勇飛行隊「フライング・タイガース」(中国では「飛虎隊」と呼ぶ)の飛行教官とか。義勇飛行隊を名乗ってはいるが、実態はアメリカ空軍の別働隊に近い。

 110億円超とも約70億円ともいわれる破格の製作費を使い、国有大手の中国電影集団公司などが共同製作するというから、常識的に考えるなら、9月初旬を中心に計画されている「抗日戦争勝利70周年」事業の一環ということだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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