粉飾決算「東芝」が上場廃止にならない「奇妙な理屈」

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2015年7月14日
エリア: 日本

 東芝の「不適切会計」問題で、会社が設置した第三者委員会が近く報告書をまとめる。すでに、関係者の話として様々な先行報道がなされているが、経費を実際より小さく見積もるなど、損失を先送りすることで利益をかさ上げする不正行為が、長期にわたって行われていたことは間違いない。当初、社内調査で明らかになった原発部門などでの500億円の利益水増しでは収まらず、パソコン事業など幅広い分野で1500億円以上にのぼると見られている。報道の中には2000億円を突破するという指摘もある。組織ぐるみで粉飾決算に手を染めていたことが明らかになりそうだ。

 

問題矮小化の意図

 今回の問題で、大手メディアはなぜか「不適切会計」という言葉を使っている。だが、利益のかさ上げが事実ならば、これは明らかな「粉飾決算」「不正会計」である。「不適切」という言葉を使うことで、あたかもケアレスミスで不法行為ではない、と言外に言っているように見える。

 背景には、東芝自身が4月初めに「不適切な会計処理の疑いがある」と公表し、決算発表を延期したことがある。世間に問題が広く知られるきっかけが会社側の公表で、メディア自身が暴いた不正ではなかったのだ。会社が先に「不適切」という言葉を使うことで、それが定着したと見ることもできる。だが、どうも、「不適切」という言葉を使うことで問題を矮小化しようという意図が隠れているように感じてしまう。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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