ミュンヘン中央駅に到達するシリア難民

 

ミュンヘンに集った中東関係者

先月ミュンヘンで、日本の中東関係者が集まる会議に呼ばれて話をした。そこでは「ドバイでもイスタンブールでもなく、なぜミュンヘンで?」というのは、中東に関与していれば誰でもが答えが分かるけれども、つい口にしてしまう問いであった。答えは明快で、企業の重役や最先端の担当者が各地から集まり、官庁や大使館の幹部職員と顔を合わせる会議で、少しでもセキュリティ上の問題があってはならない。会議そのものが狙われるなどということはもちろん万が一にもあってはならないが、会議の期間中どころか数カ月も前に予定地で何か人目を引く事件があるだけでも参加者が激減し、会議が成り立たなくなる。安全を重視し、中東を拠点とする参加者の便を考えれば、ミュンヘンという選択は妥当なものだという意見が多かったのではないか。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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