饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(210)

「台湾料理」は入らなかった「中台トップ会談」夕食会メニュー

西川恵
執筆者:西川恵 2015年11月13日
エリア: 中国・台湾

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統がシンガポールでもった、1949年の中台分断以降初めてとなる首脳会談。相手を「先生(~さん)」と呼び、双方が舞台の両袖から歩み寄って中央で握手し、会談の費用も折半と、徹底した対等・平等が演出された。引き続く夕食会も対等・平等がキーワードだったが、さまざまなシグナルとメッセージが飛び交った食事会でもあった。

 

席の配置は中国式

 会談前、台湾で対中政策を主管する行政院大陸委員会の呉美紅・副主任委員は、

「会談後の食事は割り勘で、誰が誰をもてなすということではなく、皆が一緒に食事をとる。食費もそれぞれ自分たちの分を払う。あえて誰が主人かと言えば、両首脳が主人だ」

 と述べた。

 しかし席順、料理内容、飲物と、こと細かに中台双方で詰めが行われたことは想像に難くない。

 円卓になったのは主賓とホストの区別はないから、どちらが上席かを詮索しなくてすむようにだ。両首脳は入口から最も遠い上座に並んで座り、中台の幹部12人は交互に座るように配置された。外交饗宴での首脳同士の座り方は、中国式は並んで座り、台湾式は対面するから、ここは台湾が譲ったと言えるかも知れない。もっとも両首脳が並ぶようにしたのは、2人でヒソヒソ話ができるようにするため、との見方が台湾紙で報じられた。

執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛
逆張りの思考
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順