蔡英文勝利「ほぼ100%」という「台湾総統選」直前情勢

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2015年12月14日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: 中国・台湾

 来年1月16日の台湾総統選と立法委員選挙まで残り1カ月となった。総統選については、民進党候補の蔡英文の独走態勢がさらに強まっており、このまま当選する確率はほとんど100%に近い。天変地異や本人の事故、病気など予想外の事態がない限り「圧勝」を果たし、2016年5月には、8年ぶりの民進党の政権復帰による政権交代が実現しそうだ。

 

得をしたのは馬英九総統だけ

 国民党は女性候補の洪秀柱を「すげ替え」してまで急遽、党主席の朱立倫が候補者になったが、期待とは裏腹に、その後の成り行きは精彩を欠いている。副総統候補に選んだ女性弁護士の王如玄は、福祉政策としてつくられた軍人住宅の転売による利ざや稼ぎ疑惑が浮上し、違法行為ではないものの、人権派弁護士として鳴らしたキャリアには似つかわしくない行為として、いまもメディアの攻撃にさらされ続けている。

 立法委員選挙の比例区名簿を公表したが、これも派閥に配慮した新味のない顔ぶれだとして、親国民党系メディアからも「歴史上最もだめな比例名簿だ」と酷評される結果となった。南部を中心に地方勢力に根を張っている王金平立法院長をどうにか陣営に引き込まなければ選挙が戦えないという弱みがあり、王金平氏に配慮する形でベテラン議員らを大勢、比例区に抱え込まざるを得なかった。総じていえば、副総統候補や比例区候補の人選にじっくりと時間をかけられなかったことは明らかで、急な「すげ替え」が響いている。 

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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