安倍政権は「年金損失30兆円」に耐えられるのか

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2015年12月15日
エリア: 日本

「年金運用の失敗」「わずか3カ月で8兆円の損失」「8兆円がパー」「国民の給付額は減らされる?」――。

 そんな見出しが各種メディアに躍った。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が11月30日に発表した今年7~9月の運用成績結果を受けた記事だ。

 GPIFの資料によると、第2四半期(7~9月)の収益率はマイナス5.59%、収益額はマイナス7兆8899億円となった。第1四半期がプラス1.92%で2兆6489億円のプラスだったので、出だし3カ月の利益がすべて吹き飛んで、さらに5兆円以上の損失が残ったことになる。

 だが、国民の年金を運用するGPIFは、本当に運用に失敗して、8兆円もの穴をあけたのか。そのツケは年金給付の減額となって、本当に国民に跳ね返ってくるのだろうか。

 

主因は「時価評価額の目減り」

 実際には、GPIFは運用に失敗したわけでも、取り返しのつかない「穴」をあけたわけでもない。最大の理由は、9月末の株価が6月末に比べて大きく下げていたため。保有している株式の時価評価額が目減りしたことが主因なのだ。

 GPIFの6月末の運用資産額は141兆1209億円。その23.39%を国内株が占めていた。33兆81億円を日本株に投じていたわけだ。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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