北朝鮮「水爆実験」で変わるロシアとの「闇の関係」

名越健郎
執筆者:名越健郎 2016年1月12日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア 朝鮮半島

 北朝鮮が6日に実施した「水爆実験」に対し、ロシアは「国際法規と国連安保理に対する重大な違反だ。北東アジアの緊張を際限なく高めかねない」と非難した。モルグロフ外務次官は米国のソン・キム6カ国協議担当特使と電話協議し、北朝鮮の安保理決議違反行為を非難する点で一致し、6カ国協議の枠内で政治・外交的解決を図るロシアの立場を伝えた。ロシアと北朝鮮の関係は2014年から好転し、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が15年5月の対独戦勝式典に出席する計画が浮上したが、直前に中止した後、関係は後退していた。核拡散に反対するロシアは「水爆実験」で強硬姿勢を取っており、関係は振り出しに戻った。北朝鮮の「親露派」、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相の処刑も、関係冷却化の背景にありそうだ。

「自らの核能力を明らかに誇張」

「水爆実験」に対するロシア専門家のコメントは、日米の専門家らと視点が異なっていて興味深い。国際原子力機関(IAEA)のロシア代表、ウラジーミル・ボロンコフ氏は記者団に、「核爆発は北朝鮮北東部の前回2013年核実験の実験場から650メートル離れた地点で実施された。爆発規模も振動も前回と同程度だ」と述べた。極東研究所のアレクサンドル・ジェビン研究員はインタファクス通信に対し、「北朝鮮は過去3回の核実験で核弾頭の小型化を進めており、4回目が必要だったようだ。北には核兵器を運搬する航空戦力がなく、ミサイルに装着するしか手がない。経済力、技術力を総合的に高めて核クラブに入るという能力や発想はなく、公開情報や機密情報を集めていきなりミサイルに核を搭載させることに集中してきた」とし、「小型水爆実験により、徐々にミサイル搭載能力を持ち始めた」との認識を示した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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