ジャカルタ「同時テロ」事件のインパクトと限界

川村晃一

 1月14日午前10時55分頃、インドネシアの首都ジャカルタの中心部で爆弾テロ事件が発生した。まず、ジャカルタの中心部を貫くタムリン通りに面したスターバックス・コーヒー店で自爆テロが発生した。これでパニックになった店内の客が外に逃げようと出てくると、店外にいたテロ犯2人が外国人客を標的に拳銃を発砲し、カナダ人1人が死亡。それとほぼ同時に、別のテロ犯2人がコーヒー店の角の交差点にある交通警官の詰所に自爆テロをしかけた。この爆破に巻き込まれたインドネシア人の一般市民1人が死亡。この間わずか5分あまりである。その後、駆けつけた警官らとの間で銃撃戦になったが、残った2人のテロ犯は射殺され、死者7人(うちテロ犯5人)、けが人24人(うち外国人4人)を出した白昼のテロ事件は終わった。わずか20分あまりの出来事であった。

 中央銀行などの主要官庁や外国企業なども入居する高層ビルが立ち並ぶジャカルタ一番の目抜き通りで発生したテロ事件は、インドネシア国民に大きな衝撃を与えた。しかも、今回の事件は、自爆だけでなく拳銃を使った殺人が行われたという点で、これまでのテロ事件とは大きく異なる。インドネシアにおける過激派の活動が新しい様相を帯びてきたという点が注目される。

執筆者プロフィール
川村晃一
川村晃一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 地域研究センター副主任研究員。1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、ジョージ・ワシントン大学大学院国際関係学研究科修了。1996年アジア経済研究所入所。2002年から04年までインドネシア国立ガジャマダ大学アジア太平洋研究センター客員研究員。主な著作に、『2009年インドネシアの選挙-ユドヨノ再選の背景と第2期政権の展望』(アジア経済研究所、共編著)、『インドネシア総選挙と新政権-メガワティからユドヨノへ』(明石書店、共編著)、『東南アジアの比較政治学』(アジア経済研究所、共著)、『新興民主主義大国インドネシア-ユドヨノ政権の10年とジョコウィ大統領の誕生』(アジア経済研究所、編著)などがある。
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