ジャカルタ「同時テロ」事件のインパクトと限界

執筆者:川村晃一 2016年1月15日

 1月14日午前10時55分頃、インドネシアの首都ジャカルタの中心部で爆弾テロ事件が発生した。まず、ジャカルタの中心部を貫くタムリン通りに面したスターバックス・コーヒー店で自爆テロが発生した。これでパニックになった店内の客が外に逃げようと出てくると、店外にいたテロ犯2人が外国人客を標的に拳銃を発砲し、カナダ人1人が死亡。それとほぼ同時に、別のテロ犯2人がコーヒー店の角の交差点にある交通警官の詰所に自爆テロをしかけた。この爆破に巻き込まれたインドネシア人の一般市民1人が死亡。この間わずか5分あまりである。その後、駆けつけた警官らとの間で銃撃戦になったが、残った2人のテロ犯は射殺され、死者7人(うちテロ犯5人)、けが人24人(うち外国人4人)を出した白昼のテロ事件は終わった。わずか20分あまりの出来事であった。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
川村晃一(かわむらこういち) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 海外調査員(インドネシア・ジャカルタ)。1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、ジョージ・ワシントン大学大学院国際関係学研究科修了。1996年アジア経済研究所入所。2002年から04年までインドネシア国立ガジャマダ大学アジア太平洋研究センター客員研究員。2024年からインドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)客員研究員。主な著作に、『教養の東南アジア現代史』(ミネルヴァ書房、共編著)、『2019年インドネシアの選挙-深まる社会の分断とジョコウィの再選』(アジア経済研究所、編著)、『新興民主主義大国インドネシア-ユドヨノ政権の10年とジョコウィ大統領の誕生』(アジア経済研究所、編著)などがある。
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