ジカ熱「リオ五輪での拡大」を恐れる米国の不安

大西睦子

 人類の歴史は、感染症との戦いでもあります。ワクチンや抗生物質の開発により、これまで多くの感染症が克服されました。それでも、新しい感染症は繰り返し流行し、多くの人の健康を脅かします。最新の脅威は「ジカウイルス感染症」です。

 世界保健機関(WHO)によると、ジカウイルス感染症は、主にヤブカ属の「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」のうち、ウイルスを保有した蚊に刺されると感染します。ちなみに、日本のヒトスジシマカの分布北限は、1946~1948年頃は栃木県北部でしたが、その後徐々に分布域を北へ拡大し、現在、秋田県や岩手県にまで侵入と定着が認められています。

 このジカウイルス感染症の潜伏期間(ウイルスに感染してから症状がでるまでの期間)は不明ですが、数日である可能性が高いです。症状は、発熱、発疹、結膜炎、筋肉や関節の痛み、倦怠感、頭痛など、デング熱の症状と類似しています。これらの症状は軽度ですが、通常2~7日間は続きます。現在、特定の治療法やワクチンはありません。最も優れた予防法は、蚊に刺されないこと、というくらいです。

 ジカウイルスは、アフリカ、中南米、アジアや太平洋を循環することが知られています。そして最近になって、ブラジル保健当局が、公共の場におけるジカウイルス感染の増加と、ブラジル北東部における小頭症の新生児の増加に着目。その結果、小頭症とジカウイルス感染症の関連が強く疑われるようになったのです。

執筆者プロフィール
大西睦子
大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月から2013年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)。『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)などがある。
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