財務省はなぜ「報道操縦」するのか:「消費税増税」と「国民負担率」

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2016年4月22日
エリア: 日本

「16年度の国民負担率、7年ぶり低下43.9%に」(日本経済新聞)、「国民負担率7年ぶり減へ」(朝日新聞)――。

 今年2月、主要メディアは一斉に「国民負担率」が低下するという記事を掲載した。国民負担率は、国税や地方税など「税負担」と年金などの「社会保障負担」の合計を、国民所得で割ったもの。つまり税と社会保障の負担感、重税感が今年度は7年ぶりに和らぐとしたのである。

 これらの記事は、2月12日に財務省が発表した「2016年度(平成28年度)の国民負担率の見通し」を元に書かれている。いわゆる発表記事である。財務省内にある記者クラブ詰めの記者は、財務官僚の説明に何の疑問も抱かずに記事にしたに違いない。だがこの発表、実は先輩記者たちが何度も“騙された”いわくつきの発表なのだ。

 過去の新聞を検索してみれば分かるが、2012年には「今年度3年ぶりに低下」、2013年には「4年ぶりに低下」という記事が載っている。2016年の今年に「7年ぶり低下」という記事が載ったということは、過去の「低下」という記事はいずれも“誤報”だったということになる。いずれも実際の数字は「低下」しなかったのである。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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