「一時国有化」もありえる「東芝」の土俵際

執筆者:安西巧 2016年5月6日

 案の定、東芝の再建が迷走している。3月に医療機器と白物家電の子会社を売却したのに続き、米原発子会社ウエスチングハウス(WH)の事業価値について、2016年3月期に約2600億円の減損処理をすると4月26日に発表。リストラが着々と進んでいるように見えるが、現実は「手当たり次第に売れるものを処分し、不可避のことに対処しているに過ぎない」(大手証券アナリスト)。今後の収益を支えると同社が位置付ける半導体、原発、社会インフラの3事業は、グループ従業員約20万人を抱える巨大企業の安定収益を支えるにはお寒い限り。業績のV字回復どころか、「東芝の地獄はこれから」(同)との見方がもっぱらだ。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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