紆余曲折する「民泊解禁」ルール作りの現状

執筆者:原英史 2016年5月30日
タグ: イギリス 日本
エリア: アジア

 民泊については今年3月に記事を掲載したが、その後も次々に新たな動きが報じられている。5月半ばには「民泊全面解禁へ」といった見出しも躍るなど、状況が一気に変わってきたようにもみえるが、本当にそうなのだろうか。ちょっとよくみれば、新聞記事の上辺に隠された裏側がみえてくる。
 
 都市部を中心とした民泊の現状について、前回記事の復習を兼ねつつ、最新情報をアップデートして整理してみよう。

増加しつつある「違法民泊」

(1)まず、都市部での民泊は実態として広がっている。Airbnbの民泊紹介サイトなどをみれば、特にホテル不足が深刻化する東京や関西の物件が大量に掲載されている。
 しかし、多くは、必要な許可を得ていない違法な施設だ。京都市が5月初旬に公表した調査資料(調査期間は昨年12月から今年3月まで)によれば、京都市内の民泊施設2702件(Airbnbなどに掲載されているもの)のうち、旅館業法の許可を得ている施設は189件(7.0%)、明らかに無許可と推測される施設が1847件(68.4%)、残りは所在地不明で特定できていないものとされる。東京や大阪でも、データをとればおそらく似たり寄ったりだろう。

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執筆者プロフィール
原英史(はらえいじ) 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『国家の怠慢』(新潮新書)など。
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