「領有」へ1歩踏み出した中国:尖閣「接続水域」進入

 6月9日未明に発生した、中国海軍フリゲート艦ジャンカイⅠ級による、尖閣諸島の接続水域進入事案。これについて「偶発的なもの」「軍事的な意図はないだろう」といった解説を散見するが、事はそれほど単純なものではなく、むしろ中国が「1歩」踏み出したのだ、と見るべきである。以下、いくつかの観点からこの事案を検証してみたい。
 なお6月15日には中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が鹿児島県口永良部島西方の領海を侵犯、さらに16日には同艦が沖縄県北大東島北方の接続水域に進入するなど、事案が立て続けに発生しているが、前者とこれらとは意味合いが異なり、分けて考える必要がある。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
伊藤俊幸(いとうとしゆき) 元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、日本安全保障・危機管理学会理事。1958年生まれ。防衛大学校機械工学科卒業、筑波大学大学院地域研究科修了。潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、第二潜水隊司令、海幕広報室長、海幕情報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛隊呉地方総監を最後に2015年8月退官。
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