メキシコ経済「最大のリスク要因」は「トランプ政権」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2016年6月30日
エリア: 北米 中南米

 現在、筆者は米国東海岸に滞在して米国大統領選挙の展望に焦点を当てつつ米国政治の専門家や共和、民主両党の元政府関係者などとの意見交換を繰り返している。米国に移動する前にはメキシコの首都メキシコシティに滞在し、6月5日の地方選挙での与党・制度的革命党(PRI)の大敗を受け、メキシコの最新の政治、経済情勢や2年後に迫った2018年メキシコ大統領選挙の展望などについて意見交換を行っていた。実はメキシコを訪れたのは8年振り、2008年9月以来であった。2008年米国大統領選挙の約1カ月半前のメキシコ滞在中に「リーマンショック」が発生し、発生翌日にワシントンに入り、ワシントンの街が騒然となっていたことを、まるで昨日のように思い出すことができる。それ以来のメキシコであった。

 今回、訪米前にメキシコを是非訪れたいと考えた大きな理由は、共和党大統領候補の指名を確実にしている実業家兼テレビパーソナリティのドナルド・トランプ氏が大きな存在感を示している米国大統領選挙が、メキシコ側にはどのように映っているかを自分自身の目で正確に確認したいと考えたためだ。

出馬表明時からメキシコ批判を展開

 トランプ氏が2015年6月16日にニューヨーク・マンハッタンのトランプ・タワーで大統領選挙への出馬表明を行ってから1年が経過した(「トランプ氏『メキシコ不法移民批判』がもたらす共和党の『イメージダウン』」参照)。トランプ氏は7月18日からオハイオ州クリーブランドで開催される共和党全国大会で、正式に同党の大統領候補指名を受諾することになっている。過去1年間、トランプ氏が大統領候補指名獲得争いの中で最も厳しい批判を浴びせ続けた国はメキシコである。トランプ氏が大統領予備選挙キャンペーンの中で主要争点として取り上げたのが「反自由貿易」「不法移民取り締まり」というメキシコが深く関係するものであり、メキシコはトランプ氏が訴える「保護主義政策」と「排他主義」の格好の標的となった。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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