台湾・蔡英文が米紙に語った「南シナ海問題で中国と共闘せず」

執筆者:野嶋剛 2016年7月27日
エリア: 北米 アジア
中国に対して明確なメッセージを送った(C)EPA=時事

 

 台湾の蔡英文総統が『ワシントン・ポスト(WP)』紙のインタビューに応じた。5月の就任後、内外メディアを問わず、初めてのインタビューである。

 やはりと言うべきか、最初に選んだのは米国で、その相手はWPだった。チョイスは結局のところ、『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』かWPしかなかっただろう。蔡英文はあまりインタビューを積極的に受ける方ではない。選挙前には、米誌『タイム』のインタビューを受けてその表紙(アジア版)を飾った。次は、いつかは分からないが、台湾のメディアであるような気がする。その次は日本のメディアではないだろうか。日米のメディアを連続でインタビュー相手に選べば、結局のところ、蔡英文は「親米親日(反中)」ではないかという中国側の疑念を裏打ちする形になる。台湾でも自国メディアの軽視という批判も招くだろう。だから台湾メディアを間にはさみ、次に日本メディア、という順番になるのではないかと推測している。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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