「スーチー政権」4カ月(下)「国軍」「中国」との駆け引き

樋泉克夫
ようやく政権に就いたが、残された時間は決して多くはない(C)EPA=時事

 

 3月末に国民民主連盟(NLD)が国会に提出した法案審議の結果、スーチー党首が「憲法に反せずに国家に対する助言を行いうる」と定めた新設ポストの「国家顧問」に就任している。外相、大統領府相に加え国家顧問を占めたことで、「大統領以上の存在になる」という彼女の願望は達せられたことになる。

「首脳会議では大統領は私の隣に座ることができる」などといった彼女の発言が報じられたが、やはり先に挙げた「スーチー氏は全て自分で支配しなければ気が済まないようだ」との危惧の念が現実化する可能性も考えられる。

 それというのも、彼女が反軍政のシンボルとして内外から殊に注目を集めるようになった1990年代初頭、隣国タイで首相顧問としてカンボジア各派との複雑極まりない調整役を務めたカンボジア和平の黒子役的人物が、「スーチーは民主化のポル・ポトだ。ポル・ポトが抱えた欠陥を彼女も持っている。もちろん、毛沢東原理主義と民主化原理主義の違いはあるが」と漏らしたことを思い出したからだ。はたして民主化を掲げて独裁の道を突き進む危険性はないのか。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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