「スー・チー政権」4カ月(下)「国軍」「中国」との駆け引き

執筆者:樋泉克夫 2016年7月27日
エリア: アジア
ようやく政権に就いたが、残された時間は決して多くはない(C)EPA=時事

 

 3月末に国民民主連盟(NLD)が国会に提出した法案審議の結果、スー・チー党首が「憲法に反せずに国家に対する助言を行いうる」と定めた新設ポストの「国家顧問」に就任している。外相、大統領府相に加え国家顧問を占めたことで、「大統領以上の存在になる」という彼女の願望は達せられたことになる。

「首脳会議では大統領は私の隣に座ることができる」などといった彼女の発言が報じられたが、やはり先に挙げた「スー・チー氏は全て自分で支配しなければ気が済まないようだ」との危惧の念が現実化する可能性も考えられる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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