曲がり角の南アフリカ「統一地方選」の異変

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2016年8月25日
カテゴリ: 国際 社会
エリア: アフリカ

 15年前の2001年11月、投資銀行のゴールドマン・サックスが発表した投資家向けのレポートで、経済成長著しいブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4カ国の頭文字を取ったBRICsという言葉が初めて使われた。今では説明の必要もないほど市民権を得たこの言葉には、当初、南アフリカは含まれておらず、最後の小文字のsは複数形を表すsであった。南アが正式に含まれるようになったのは、2011年4月に北京で開かれたBRICS首脳会議に、ズマ大統領の出席が認められたときからである。これを機に、小文字のsは南アフリカ(South Africa)の頭文字を表す大文字のSに変わった。

 BRICSの5カ国は、新しい世界経済の牽引役として一時期もてはやされたが、2016年7月にIMFが発表した世界経済見通しの速報修正値を見ると、2015年のGDP成長率は、ブラジル-3.8%、ロシア-3.7%、南ア1.3%と惨憺たる状況にある。中国の成長率は6.9%とされているものの、その数値の信憑性に疑問符が付けられているのは周知の通りであり、ひとりインドが7.6%と気を吐いているのが現状だ。
 BRICS諸国の危うさは、経済分野だけに見られるものではない。政治に目を転じると、中国は強権主義と対外膨張志向を強め、ロシアの民主主義はプーチン政権下で空洞化し、ブラジルの政治腐敗は底なしの様相を見せている。

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執筆者プロフィール
白戸圭一
白戸圭一 三井物産戦略研究所国際情報部 中東・アフリカ室主席研究員。京都大学大学院客員准教授。1970年埼玉県生れ。95年立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。同年毎日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、外信部を経て、2004年から08年までヨハネスブルク特派員。ワシントン特派員を最後に2014年3月末で退社。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞)、共著に『新生南アフリカと日本』『南アフリカと民主化』(ともに勁草書房)など。
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