終わらぬ雨傘:「香港選挙」で中国が憎む「本土勢力」が躍進した理由

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2016年9月7日
エリア: 中国・台湾

黄之鋒(左側前列)率いる新党が想像以上の大躍進だった(C)AFP=時事

 

 香港の議会にあたる「立法会」の4年に1度の選挙(定数70)の投開票が4日から5日にかけて行われた。その結果についてざっくり評すると、「非親中派が微増。本土勢力が躍進」ということであろう。

 今回の選挙で最大の注目点は、2014年の反中・民主化要求デモ「雨傘運動」に関わった若者ら6人が当選を果たしたことである。

 香港の民主を制限しようとする中国に反発して若者たちが立ち上がった2014年9月の雨傘運動は、結果として運動そのものは成果を出すには至らなかった。しかし、運動からちょうど2年が経過した今回の選挙で、香港の政治地図に、目標に掲げる「自決(香港の将来を自分たちで決めること)」に向けて今後新たな闘いを展開するための大きな拠点を彼らが確保したことになる。

 

無視できない一大勢力に

 いわゆる「本土勢力」の6人のうち、穏健な主張をとる3人を既存の「民主派」に分類する報道もある。ただ、そこには違和感がある。当選した6人は、香港をあくまでも自分たちがよってたつ土地とし、自分たちの将来は自分たちで決めたいとする「自決論」を唱えることで、中国とは一線を画す考え方で共通している。これは、香港人はあくまで中国人であるとし、中国との一体性を否定しない民主派とは根っこの価値観から異なっている。雨傘運動後、既存の民主派のなかでも「自決論」にシフトする動きもあり、そもそも民主派というカテゴリーが成立しにくくなりつつある。そのため現段階では、従来の民主派と新興の本土勢力をあわせた「非親中派」と分類するのが便利だし、現実にかなった分類なのではないだろうか。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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