饗宴外交の舞台裏 (220)

親日「サウジ副皇太子」へ安倍首相「異例の厚遇」

執筆者:西川恵 2016年9月14日
エリア: 中東 アジア
夕食会冒頭には和太鼓の演奏もあった(右列中央が安倍首相、その右隣が副皇太子)(C)時事

 

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(31)が8月31日から9月2日までの3日間、来日した。訪日の目的は、脱石油依存の経済改革を進めるための、日本との経済提携の強化。サウジに原油の多くを頼る日本にとっても願ってもないことだった。

 ムハンマド副皇太子はサウジ王家の王位継承権第2位で、国防相と経済開発評議会議長を兼務する。

 昨年4月、サルマン国王は王位継承権第1位のムクリン皇太子を突然解任し、甥で副皇太子のムハンマド内相(57)を新たな皇太子に、それに次ぐ王位継承権第2位の副皇太子に、国王の息子ムハンマド国防相をあてた。この「2人のムハンマド」のうち、軍事と経済を握る後者の副皇太子が急速に存在感を強めている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top