深刻さ増す「国内消費低迷」の犯人

磯山友幸
こうした「爆買いツアー」も一服した感はあるが……(C)時事

 

 国内消費の低迷が一段と深刻になってきた。日本百貨店協会が10月20日に発表した今年9月の全国百貨店売上高は4233億円と、店舗数調整後の前年同月比で5.0%減となり、7カ月連続のマイナスとなった。前月8月のマイナス6.0%に続いて大きなマイナスを記録し、消費の悪化を如実に示した。

 百貨店の販売不振の一因に、中国人観光客の「爆買い」一服があるのは確かだ。観光客が百貨店で免税手続きをした売上高は10.1%減と、6カ月連続の前年同月割れとなった。高級ブランド品が飛ぶように売れていた1年前とはすっかり様相が変わっている。

 だが、「爆買いの一服」だけに目を奪われていると、現在の消費低迷の要因を見誤る。確かに免税売り上げは1年前に比べて10%減っているが、金額は124億円に過ぎない。全体の4233億円からみれば2.9%だ。もちろん免税売り上げの集計対象は84店舗で、全体の236店舗からすると集計対象が少ないため、外国人観光客による国内での消費は実際にはもう少し影響が大きいかもしれない。また、外国人観光客の買い物は高額商品が多かったから、百貨店の利益に与える影響はさらに大きいに違いない。しかし、消費悪化の原因として「爆買い収束」にばかり目を取られるのは危険だ。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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