原発「統廃合」の迷路:電力は「反対」メーカーは「推進」

執筆者:杜耕次 2016年11月9日
エリア: 北米 アジア
この第2回会合で東電原発の統廃合プランが飛び出した。左列手前が東電HDの広瀬直己社長(C)時事

 

 東京電力福島第1原子力発電所事故(3.11)以降、世界的に退潮著しい原発ビジネス。その流れに逆行し、首相の安倍晋三(62)をはじめ官邸や経済産業省が主導してきた泥縄式の「原発維持」政策が崩壊に瀕している。福島の事故処理費用で東京電力ホールディングス(HD)は債務超過が目前に迫り、司法判断で原発再稼動を阻止された関西電力も、再度の赤字転落がチラつく。悲鳴を上げる両社に対し、経産省は企業の枠を越えた原発事業の切り離し・統合を画策するが、「東電、関電の“負の遺産”を押し付けられては堪らない」と他電力は及び腰。一方、東芝、日立製作所、三菱重工業の原発メーカー3社も、「単独では維持できない」として原発事業統合に動き始めた。「3.11」からやがて5年8カ月。官民ともに先行きを見誤ったツケを払わされている格好だ。

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