「トランプ支持派捜査官」のガス抜きか:FBI「クリントン再捜査」の裏面

執筆者:春名幹男 2016年11月8日
エリア: 北米
コミーFBI長官の「ガス抜き」は成功したのか? (c)AFP=時事

 米大統領選挙の最終盤、クリントン前米国務長官(69)のメール問題捜査をめぐり、わずか10日の間に、「捜査再開」から「(不訴追の)決定に変更なし」と大きく揺れた米連邦捜査局(FBI)。
「捜査再開」で支持率が低下したクリントン氏を猛追した共和党トランプ候補(70)は、今度は「不訴追」が確認されて勢いをそがれ、民主党クリントン氏は差を広げた。
 選挙情勢に重大な影響を与える行動を決して起こしてはいけない「原則」が法執行機関にはある。だが、「誤解される重大なリスク」を予見しながらも、あえてローラーコースターのような展開を招いてしまったジェームズ・コミーFBI長官(55)。2度にわたりお騒がせ発表をした長官に、どんな事情があったのだろうか。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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