「南スーダン制裁決議」に見るアメリカ外交の敗北

鈴木一人
執筆者:鈴木一人 2017年1月12日
エリア: 北米 アフリカ 日本

 前回の記事で取り上げた、イスラエルの入植活動を国際法違反と認める安保理決議と同じ日に南スーダン制裁に関する安保理決議案も提出され、アメリカを含む賛成が7票、日本を含む棄権が8票(反対は0)で決議案が採択されなかった。
 この決議案に関しては、アメリカの圧力があったにもかかわらず、日本は賛成に回らず棄権して決議が成立しなかったことで日本でも話題となったが、管見の限り、どのような決議だったのか、なぜアメリカは積極的に推進し、日本は棄権したのかをきちんと説明している報道はあまり見られなかった。

安保理決議の採択に必要な票数

 しばしば、安保理決議の採択に関しては、拒否権が重要な役割を果たすことが強調される。5大国(常任理事国Permanent memberの5カ国という意味でP5と呼ばれる)が特権的に持つ権力として知られるが、国連憲章には「拒否権」という表現は存在していない。国連憲章第27条は安保理の評決について以下のように定めている。

(3)その他(手続き事項以外)のすべての事項に関する安全保障理事会の決定は、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる。(後略)

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執筆者プロフィール
鈴木一人 すずき・かずと 北海道大学大学院法学研究科教授。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授を経て、2008年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、『EUの規制力』(日本経済評論社、共編)、『技術・環境・エネルギーの連動リスク』(岩波書店、編者)などがある。
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