財務省に操られた「国民負担率」報道の「まやかし」

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2017年2月20日
エリア: 日本
大臣もご存じのことか?(C)AFP=時事

 

 今年も大手メディアは財務省の情報操縦に見事にはまった。2月10日に財務省が発表した「国民負担率」の報道である。

 中でも、11日付の日本経済新聞が経済面トップで書いた記事に、財務官僚は膝を叩いて、「よくぞ書いてくれた」と唸ったに違いない。題して、「17年度の国民負担率、横ばい42.5% 将来世代へ先送り鮮明」である。

 国民所得に対する税金や社会保険料の負担の重さを示す「国民負担率」は、毎年2月のこの時期に決まって公表される。

 しかし、常に「次年度の見通し」にウエートが置かれ、確定した「実績」について記事が書かれることはほとんどない。財務省の記者クラブで財務官僚が「見通し」に力点を置いて説明するのを、そのまま記事にしているからだろう。

 発表資料によると、2015年度の「実績」が42.8%、2016年度の「実績見込み」が42.5%、そして2017年度の「見通し」が42.5%となっている。

 確定した実績である2015年度の42.8%は5年連続の上昇で、4年連続の過去最高である。年々負担が増しているところに国民の関心があるのは間違いないから、普通ならば「国民負担率、4年連続で過去最高」といった見出しが立ちそうなものだが、ついぞそうした記事にはならない。

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執筆者プロフィール
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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