「伝説の名経営者」起用でも「東電」再建は「画餅」

執筆者:安西巧 2017年4月11日
エリア: アジア
晩説を汚さねばよいが……(川村次期会長=左=と小早川次期社長)(C)時事

 

 6月下旬に発足する東京電力ホールディングス(HD)の「新体制」が決まった。最大の目玉は數土文夫(76)に代わって会長に就任する日立製作所名誉会長の川村隆(77)の起用。8年前に日立が当時製造業として過去最大の7873億円の赤字を計上した際、グループ会社から呼び戻されて会長兼社長に就任し、わずか1年で再建のメドをつけた。虚飾に流されない万事控え目な性格で、3年前の経団連会長人事では最有力候補者だったにもかかわらず、財界首脳からの就任要請を膠(にべ)もなく断ったことでも知られる。そんな「伝説の名経営者」が何故“火中の栗”を拾うに至ったのか。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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