エルドアンに「大権」を与えるトルコ憲法改正国民投票が薄氷の可決

池内恵
執筆者:池内恵 2017年4月17日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ヨーロッパ 中東
僅差の勝利だったが……(C)AFP=時事

 

 4月16日のトルコ国民投票の開票の結果が発表され、賛成票が51.4%(暫定値)で、憲法改正が信任された。

地域間、都市ー地方間で国論二分

 55%以上程度の大差をつけての信任を目指していたエルドアン大統領にとって、薄氷の勝利と言える。イスタンブルやアンカラなど大都市圏で反対票が上回り、特にイズミルでは大きく反対票が伸びた。

 トルコのデイリー・サバーハ紙(与党AKP系)の速報で地図上に鮮明に色分けされているが、通常の議会選挙や大統領選挙と同様に、エーゲ海岸の親西欧・世俗主義が強い地域では反対票が上回り、南東部のクルド人が多い地域でも、反対票が多かった。

 議会選挙や大統領選挙で常に第1党(あるいは大統領候補者の中で群を抜いた1位)の座を占めることは確実の与党AKP(公正発展党)だが、過半数を常に占めるかというとそうではない。今回は、恒久的にエルドアン大統領に大権を与えることになりかねない憲法改正だけに、多数派形成が功を奏するかが最後まで危ぶまれていた。当初は右派・トルコ民族主義のMHP(民族主義者行動党)の取り込みを図ったが、必ずしもうまくいかず、途中から、むしろクルド人への歩み寄り姿勢を示すようになった

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執筆者プロフィール
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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