「返還20周年」香港の近未来を担う3人の「キーパーソン」

習近平と握手する陳有慶は、人懐こい人柄から「好好先生」とも呼ばれる(筆者提供。劉智鵬『僑通天下 陳有慶傳』中華書局、2012年刊より。以下同)

 

 7月1日、香港は1997年の香港返還(中国では「香港の中国回帰」と呼ぶ)から20年目を迎えると同時に、今年3月の行政長官選挙で初当選を果たした林鄭月娥(キャリー・ラム/1957年生まれ)の政権が発足する日でもある。当日は返還20周年記念と新長官就任を祝う大々的な式典が行われる。習近平主席は6月29日に初めて香港を訪問する。伝えられるところでは、7月1日までの滞在中、一連の式典への参加に加え、香港島繁華街の「湾仔」見学や新界駐屯の人民解放軍部隊視察も日程に組み込まれているとのことだ。習近平主席滞在中、香港の安定と繁栄維持を“実現”しているとして、「一国両制」の成果が華やかに演出されるに違いない。だが「一国両制」が香港住民のアイデンティーに動揺をもたらしていることもまた事実だ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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