
水揚げされたコウナゴに安堵の笑顔を浮かべるありし日の佐藤さん(筆者撮影、以下同)
東京電力福島第1原子力発電所事故から6年を過ぎた今年5月20日、1人の海の男が逝った。福島県内で3年続けて漁獲1位になった底引き漁船長から、原発事故後は被災地となった相馬・双葉地方の漁協組合長に。海の汚染のため操業自粛を強いられた仲間を引っ張り、再生の希望を懸けた「試験操業」を進めてきた。原発からの度重なる汚染水流出、風評問題に苦悩。がんを抱えて東京電力、政府との交渉に心労を重ねた。「身体の不調を隠し、余命を測りながら最後の日々を生きた」と周囲は語る。

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