エルサレム問題は何が「問題」なのか

池内恵
執筆者:池内恵 2017年12月8日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 中東
 

 エルサレム問題とは結局何が問題なのだろうか。トランプのエルサレム首都承認をめぐって、英語でも日本語でもそれなりに解説がなされているが、隔靴掻痒の感が否めない。少なくともトランプの演説からは、問題の所在は認識していることが明らかだ。認識した上で、イスラエル寄りの立場を可能な限り取ろうとし、しかしそもそもどちらの立場を取ろうとも解決があまりに困難であることは認識しており、問題解決の困難さから目を逸らすための方法を探っている。その方法はそれなりに巧妙である。少なくとも、単に乱暴な大統領が単に乱暴な議論をしたというだけではない。政治・外交的な手法として乱暴であると批判することはできるが、エルサレム問題についての認識自体は、多くの当事者に共有されたものに則っている。トランプの政策を批判するにしても、問題の所在と構図を理解してからにしたほうがいい。

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執筆者プロフィール
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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