エルサレム問題とは結局何が問題なのだろうか。トランプのエルサレム首都承認をめぐって、英語でも日本語でもそれなりに解説がなされているが、隔靴掻痒の感が否めない。少なくともトランプの演説からは、問題の所在は認識していることが明らかだ。認識した上で、イスラエル寄りの立場を可能な限り取ろうとし、しかしそもそもどちらの立場を取ろうとも解決があまりに困難であることは認識しており、問題解決の困難さから目を逸らすための方法を探っている。その方法はそれなりに巧妙である。少なくとも、単に乱暴な大統領が単に乱暴な議論をしたというだけではない。政治・外交的な手法として乱暴であると批判することはできるが、エルサレム問題についての認識自体は、多くの当事者に共有されたものに則っている。トランプの政策を批判するにしても、問題の所在と構図を理解してからにしたほうがいい。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン