徹底検証:岩波書店『広辞苑』の「台湾記述」どこが問題か

執筆者:野嶋剛 2017年12月28日
エリア: アジア
国際問題に発展したが……(筆者提供)

 

 岩波書店『広辞苑』の台湾関係の記述が、日本、中国、台湾で、大きな波紋を広げている。1972年の日中共同声明において、日本政府が、中華人民共和国に台湾が帰属すると認めたと書かれていることが、この問題の最大の論点である。累計発行部数1000万部を超え、日本を代表する大型辞典の記述のどこに問題があるのか綿密に検証を試みた。

岩波書店の「主張」

 現在発行されている広辞苑の「日中」の項目のなかにある「日中共同声明」の欄には、こう書かれている。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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