岩瀬昇のエネルギー通信 (15)

「エネルギー=電気・電力」という誤解に注意!

執筆者:岩瀬昇 2018年2月9日
タグ: 日本
話題になったNHKの年末番組(番組HPより)

 

 先日、少々遅い新年会の席で、某出版社の編集者から昨年12月の『NHKスペシャル』の番組内容を聞かされた。世の中は急速に脱炭素化が進んでいて、ある日本企業が世界有数の配送会社である「DHL」から、きちんと対応しないと将来取引ができなくなるとサジェストされた、というのだ。その番組を見ていなかった筆者は、次のように反応した。

 その話には自己矛盾がある。DHLは航空輸送もしているはずだが、電気では飛行機は飛ばない。2020年の東京オリンピックの時には藻から作ったジェット燃料で飛行機を飛ばす、とぶち上げた会社もあったが、専門家に聞いても、エネルギー効率が悪く、技術的にはできても経済的にはとても無理だとのことだった云々、と。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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