8年目の3.11:「風評被害」南相馬で「菜種油」が広げる「未来図」

寺島英弥
執筆者:寺島英弥 2018年3月16日
エリア: ヨーロッパ 日本
太田地区に広がった菜種畑と杉内清繁さん=2016年4月20日(筆者撮影、以下同)

 

 3月11日で、東京電力福島第1原子力発電所事故から8年目に入った、福島県浜通りの被災地。その1つ南相馬市では、「風評」に悩む地域の新しい産業として菜種栽培、菜種油が可能性を広げている。英国企業も注目し、地元の農家らの団体と提携した商品を世界に売り出した。未曽有の放射能災害からの再生に苦闘した人々の模索から、ようやく希望の未来図が見えてきた。

悲願だった自前の搾油所

 南相馬市郊外、常磐自動車道のインターから近い信田沢工業団地の一角。今年2月、プレハブの仮設棟に「南相馬信田沢搾油所」の看板が上げられた。東日本大震災、福島第1原発事故で避難した企業の仮設工場として無償貸与されてきた施設で、新たに借り主となったのは、農家が主体となった一般社団法人「南相馬農地再生協議会」=代表・杉内清繁さん(67)、12個人・団体=。栽培した菜種を自前で搾油し、加工販売する拠点を完成させた。

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執筆者プロフィール
寺島英弥 ジャーナリスト。1957年福島県生れ。早稲田大学法学部卒。河北新報元編集委員。河北新報で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)、「時よ語れ 東北の20世紀」などの連載に携わり、2011年から東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として2002-03年、米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)。3.11以降、被災地における「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。
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