14年ぶりの気負いは無用
年輪を経てこそ輝く傑作
私立探偵・沢崎(さわざき)が帰ってきた!
というわけで、原尞14年ぶりの新作『それまでの明日』がついに出た。キャリア30年で、長篇は本書がわずかに5冊目(短篇集1冊を含め、原尞の小説作品はすべてこの沢崎シリーズに属する)。ミステリ界にその名を轟かす人気作家とも思えない、驚くべき寡作ぶりだが、著者が心酔するレイモンド・チャンドラーも生涯で7作しか長篇を完成させていないので、むしろ、孤高のハードボイルド作家らしいと言うべきか。
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