饗宴外交の舞台裏 (239)

日本外交を陰で支える「タイ人」公邸料理人

執筆者:西川恵 2018年4月27日
エリア: アジア

 

ブータンへ出張して和食を振る舞うスポットさん
 

 日本の外務省には「公邸料理人帯同制度」というのがある。日本大使が任地で和食の招宴を行うため、料理人を連れていく制度だ。この公邸料理人にタイ人が加わるようになって、今年で25年が経つ。最も長く勤めているのはスポット・カドペットさん(45)。現在は駐インド日本大使公邸の厨房を預かっている。

バンコクで始めた「指導育成教室」

 一昔前、外務省ではこんなジョークが交わされていた。

「大使にとって大事なのは、1に料理人、2に次席(大使館のナンバー2)、3に夫人」

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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