中国「高度成長の終焉」でも米欧「対中投資」が止まらぬ理由
2022年12月20日
1.米中対立は変わらない
2022年は米中関係が一段と悪化した。その主な要因は3つ。第1は中国とロシアとの接近、第2は台湾をめぐる対立、第3はゼロコロナ政策である。これらの問題に関する中国の姿勢や政策方針に対して米国内での批判が強まった。また、中国も米国に対する強硬姿勢を崩さなかった。
背景には、両国の内政事情が影響していた。中国では10月後半に第20回党大会が開かれ、米国では11月上旬にバイデン政権の評価が示される中間選挙が行われた。これらの重要な政治日程を控え、国民に対して対外的な弱腰姿勢を見せられないことが両国外交政策運営の制約となった。すなわち、両国とも内向き志向の外交が対外強硬路線を招いた。
その後、第20回党大会と中間選挙が終了し、習近平政権の国内政治基盤が安定した一方、バイデン政権も中間選挙で予想以上に善戦したことから、双方に対外強硬姿勢を緩和する余地が生じた。その結果、中間選挙直後に実施された米中首脳会談において双方が歩み寄り、衝突回避のための対話を実施する方向が示された。12月16日には米国務省に対中政策の調整に当たる「中国調整室(チャイナハウス)」も新設された。
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