党大会2カ月で見える党指導層が習近平に課した「2つの制約」

執筆者:宮本雄二 2022年12月15日
タグ: 中国 習近平
エリア: アジア
「笑う習近平」の陰に党指導層との暗黙の了解?[バンコクで開催されたAPEC首脳会議での習近平氏=2022年11月18日](C)AFP=時事
習近平新体制の背景には、「百年なかった大変局」に共産党全体が持った危機感がある。ゆえに党大会での圧倒的人事は、新体制が党員と国民を引っ張る力とイコールではない。いわば指導層の「お手並み拝見」、この2カ月で打ち出された内外政策の修正からは、経済と国際環境悪化の中で習近平に課された制約のあり方が浮かび上がる。

 本年10月に第20回党大会が終わってから、まだ2カ月も経っていない。人事で圧倒的な強さを見せ、盤石の観があった第3期習近平政権は、来年3月の国務院総理の任命を待たずに、早くも政策の修正を迫られている。ゼロ・コロナ政策の修正であり、先月の首脳会談でみせた習近平の「微笑外交」である。この背景に何があるのであろうか。

天安門事件当時より遥かに大きな社会の不満

 昨年まで中国のゼロ・コロナ政策は、習近平政権ひいては共産党統治の成功例として大々的に喧伝された。実際に国民の多くも支持していた。風向きが変わったのは本年3月の上海ロックダウン以降である。かたくなに厳しい政策を続けたことも問題だったが、末端の実施組織の弱体ぶりも露呈された。仕事が急増し、人は増えたが質は低下し、住民との摩擦も増えた。オミクロン株の感染地域も広がり始め、河南省鄭州市の鴻海工場で発生した従業員の大量離職など、社会不安が急速に拡大し始めた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宮本雄二 みやもと・ゆうじ 宮本アジア研究所代表、元駐中国特命全権大使。1946年福岡県生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。78年国際連合日本政府代表部一等書記官、81年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官、83年欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年国際連合局軍縮課長、87年大臣官房外務大臣秘書官。89 年情報調査局企画課長、90年アジア局中国課長、91年英国国際戦略問題研究所(IISS)研究員、92年外務省研修所副所長、94年在アトランタ日本国総領事館総領事。97年在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使、2001年軍備管理・科学審議官(大使)、02年在ミャンマー連邦日本国大使館特命全権大使、04年特命全権大使(沖縄担当)、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。現在、宮本アジア研究所代表、日中友好会館副会長、日本日中関係学会会長。著書に『これから、中国とどう付き合うか』『激変ミャンマーを読み解く』『習近平の中国』『強硬外交を反省する中国』『日中の失敗の本質 新時代の中国との付き合い方』などがある。
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