フランス総選挙中間報告(下) 揺らぐ新人民戦線、左翼にかつての勢いなく
2024年6月26日

一時は台風の目になる可能性もあったグリュックスマンだが、その発言力は低下した[2024年6月19日、フランス・マルセイユ](C)AFP=時事
フランス国民議会(下院)の解散総選挙に踏み切った大統領エマニュエル・マクロンの基本戦略は、右派と右翼、左派と左翼を分離し、左右双方の穏健な勢力との連携を探ることにあった。しかし、右派右翼連携を画策するメディア王の支援を受けて、右派の一部が右翼になびき、右側の情勢が混沌としてきたのは、すでに述べた通りである。同様に左側も、大統領の思惑通りには進まなかった。
左派の社会党、共産党、環境政党「エコロジスト」(旧「ヨーロッパ・エコロジー緑」)の3党は2022年総選挙で、ジャン=リュック・メランション(72)率いる左翼「不屈のフランス」と連携し、左派左翼連合「環境社会新人民連合」(Nupes)としての統一候補を擁立して一定の成果を上げた。ただ、主導権を左翼に握られたことから左派の間で不満が高まり、2024年6月の欧州議会選は共闘が成立しなかった。社会党はこの選挙で、小政党「公共広場」(PP)を主宰するラファエル・グリュックスマン(44)を候補者リスト筆頭に招き、13.83%の得票という大健闘を見せた。左派では、中道指向が強いグリュックスマンの発言力が高まると見込まれた。
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