フランス政治にはかつて、コアビタシオン(Cohabitation)と呼ばれる一風変わった態様が存在した。「男女の同棲」を意味する、この言葉は大統領と首相が別の党派に所属して、一政権としての体面を保ちつつ、牽制し合う状況を示していた。1958年に始まる第5共和制で過去3回、コアビタシオンに陥った理由は非常にシンプルだ。大統領の任期が7年、首相を事実上決める国民議会(下院)議員の任期が5年とずれていたため、国民の支持動向によっては大統領の政策に反対する野党が下院選を制し、大統領が宿敵を首相に任命せざるを得ない状況に追い込まれたのだ。
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