環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への日本の参加問題は、民主党内の賛成派、慎重派のせめぎ合いの末、野田佳彦首相が「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」という玉虫色の表明を行なう形で決着をみた。一連の協議でマスコミは「民主党分裂の危機」などとあおったが、間近で見ていると、“緊迫した攻防”とはとても言えない展開だった。慎重派は、TPPに日本が加わることを半ば覚悟して条件闘争を考えていたし、野田首相や党執行部も、それを見切り、慎重派の顔を立てて軟着陸するシナリオを探っていた。ある意味で、予定調和だった。
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