国際論壇レビュー
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「日本の右傾化」とアジア諸国の期待

会田弘継

 総選挙は自民大勝、民主惨敗に終わった。「近いうちに」と8月はじめに言い放った野田佳彦首相が、100日目に打って出た解散・総選挙(「近いうち解散」と人は名付けた)――。結果は「自爆」となった。勝利した安倍晋三氏率いる自民党に対し、世界は早速「右旋回」だの「タカ派復帰」だのとかまびすしい。中道左派の英紙「ガーディアン」は「タカ派勝利で東アジアの緊張高まる恐れ」とズバリ言う。【Japanese hawk’s election victory prompts fears of regional tension, The Guardian, Dec. 16】

 「右傾化」は欧米メディアのオモチャ?

 ただ、同紙の言う「緊張」の根拠は、安倍氏の防衛問題などでの発言よりはむしろ、中国国営新華社通信のプロパガンダ報道らしい。「経済は弱体化し、政治的には怒りに駆られる日本は自国を害するだけでなく、東アジア、ひいては世界全体にとって害だ」。そう論ずる新華社をガーディアンは引用する。新華社電は、第2次大戦でアジア各国に「多大の害」を及ぼした日本の右傾化に、近隣各国は疑念を高めていると続ける。

 だが、近隣各国が警戒を強めているのは、日本でなく、むしろ中国の軍国化ではないのか。その点は後で論じよう。ガーディアンの記事も良く読むと、英王立国際問題研究所の上級研究員が「安倍氏はナショナリストだといわれるが、実は現実的。現実的になる理由もある」と分析している。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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