国際論壇レビュー

トランプの黒幕「バノン」の世界観(2)「エスタブリッシュメントのすべてを壊す」

暴走も懸念される黒幕だが……(C)AFP=時事

 

 トランプ大統領の首席戦略官として、異例なほどの権力を握りだしたスティーブ・バノンの世界観をさらに考える。

『ハリウッド・リポーター』でのベテラン・ジャーナリスト、マイケル・ウルフとのインタビューで、注目される発言には次のようなものもある。「自分は白人民族主義者(white nationalist)ではない。ナショナリストだ。経済ナショナリストだ」「グローバリストはアメリカの労働者階級を破綻させ、アジアに中産階級をつくりあげた。これから肝腎なのはアメリカ人がまんまとやられたということがないようにすることだ。それが実現できれば、白人票を60%だけでなく、黒人票もヒスパニック票も40%とって、政権は50年続く」「(アンドリュー・)ジャクソン(第7代大統領)のポピュリズムみたいに、まったくあたらしい政治運動をつくる。すべては雇用のためだ」

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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