経済の頭で考えたこと (56)

「核実験強行」朝鮮半島統一への曲がりくねった道

執筆者:田中直毅 2013年2月14日
エリア: アジア
 12日午後、北朝鮮の核実験を受けて会談する韓国の李明博大統領(右)と朴槿恵次期大統領[韓国大統領府提供](C)時事
12日午後、北朝鮮の核実験を受けて会談する韓国の李明博大統領(右)と朴槿恵次期大統領[韓国大統領府提供](C)時事

 北朝鮮は2月12日に金正恩(キム・ジョンウン)体制ではじめて核実験を行なった。同日、国連の安全保障理事会が非難声明を発表したのは当然のことであろう。それではわれわれは、北朝鮮のこうした突出を阻止できなかった背景をどのように理解すればよいのか。

 北朝鮮の核実験予告が行なわれた1月下旬に、ソウルで南北朝鮮統一の可能性を探る国際シンポジウムが行なわれた。韓先財団(韓国を先進国に引き上げるという趣旨に基づく研究所)はこれで3回連続して主催団体の役割を果している。この間わずか4年ほどしか経過していないが、韓国からみると中国の比重は格段に重いものになってきた。そしてここでも日本の比重は低下し、米国は朝鮮半島については次第に現実の追認という潮流にあるように思われる。北朝鮮の冒険主義的軍事挑発をどう受け止めるのかをめぐって、多様な見解がソウルで交錯したのは、こうした地勢学上の変化を考えれば当然のことであろう。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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